なこ

ナイロビの蜂のなこのレビュー・感想・評価

ナイロビの蜂(2005年製作の映画)
4.0
原作は「事なかれ主義の庭いじり者」と訳せるベストセラーで、ファイザー製薬がナイジェリアで治験を行った細菌性髄膜炎治療について原作者が実際に取材をした経験がベースになっている。
タイトル通り、40㎞もの道のりを幼い赤ん坊を抱いて歩く少年に対し主人公は傍観者でしかない。アフリカの貧しい子供達の現状は主人公の人生には無関係なのだ。妻が車に乗せてあげたいと主人公に頼み、それを拒んだシーンが妻亡き後、デジャブの様に繰り返される。今度は主人公がパイロットに少年を乗せてくれと頼み「1人を救っても他に同じ環境の人間がたくさん居て切りが無い」と拒まれる。自分の庭だけしか見ない事なかれ主義だった主人公は、妻を知る旅の中で、妻を疑った事に悲しみ、妻の秘密は妻なりの守り方だったと自分を後悔し、気付かぬうちに妻のような人間になっていたと思わせるシーンだった。原作のタイトルは、主人公の性格を読者に例え「見て見ぬふりは出来ないアフリカの現実」を投げかけているのではないか。
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