SYU

殺人の追憶のSYUのレビュー・感想・評価

殺人の追憶(2003年製作の映画)
5.0
2020/06/01
2020年52本目(劇場21本目)【再鑑賞】
2020劇場鑑賞3位
監督 ポン・ジュノ
ソン・ガンホ
キム・サンギョン

【憂鬱な手紙】

韓国で実際に1986年から90年代にかけて発生した連続女性殺害事件をもとに、捜査にあたった刑事達が迷宮のような事件に翻弄され、やがて自らを失っていく様を描くサスペンススリラー。
公開当時未解決事件であり、その後時効を迎えたが、2019年に遂に犯人が特定された。

以前に一度レビューしたが、この度念願の劇場鑑賞ができたので再投稿。

阪本順治監督をして「黒澤明の孫が日本でなく、韓国で生まれた。まいった」と言わしめた本作、改めて物凄い作品だったと思う。

容疑者は次々浮かぶも、杜撰な捜査や暴力での自白強要が仇となり、決め手にかけ犯人にたどり着けず、そんな刑事達を嘲笑うかのように新たに起きる殺人。

追い詰められていくのは犯人でなく刑事、次第に焦燥感にかられ常軌を逸していく捜査陣、あまりにも無力な自分に絶望する刑事達の表情に慟哭した。

冒頭からラストまで一瞬たりとも目が離せない傑作スリラー、ポン・ジュノ監督の才能に感嘆しかない。

ラストカット、何かに気づいたようなソン・ガンホがスクリーン越しに見せるなんともいえない表情、ポン・ジュノ監督がそのカットに込めたメッセージを今回ネット考察で改めて知り、鳥肌が立った。

さらにはエンディングロールに映し出される美しき風景と音楽、救いようのない物語なのに、何故か感動すら覚えてしまう。

韓国映画という括りだけではなく、過去見てきたスリラー映画の中でも、間違いなく上位にはいる一本。

やはり凄い、傑作です。

"お前は誰だ!?どこにいる!?"
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