このレビューはネタバレを含みます
勅使河原監督の意図は、明らかに茶人・堀田織部(仲代達矢)を描く事だったと推察されるが、豪姫(宮沢りえ)とその無名のお付き・うす(永澤俊也)を軸にした事で、娯楽としても優れたバランスの良い映画になっている(見立てによっては中途半端でもあるが)。
堀田織部は利休亡き後の茶の湯の世界を守り、利休同様、時の権力者・徳川家康(井川比佐志)に利用され、自死させられる茶人。
茶器はよく判らないが、家のセット、うすの川沿いのあばら屋や、豪姫の屋敷の曲がり竹の小径など、美術セットに見どころが多い。
また、宮沢と新人男優・永澤の再会場面、傷を負ったうすに、自分の胸に巻いているサラシを切って介抱する場面は、お見事!
エンディング、うすにのし掛かる豪姫は、ジェンダーの先駆けにも見え、天才、勅使河原宏の面目躍如成り!