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車夫遊侠伝 喧嘩辰のなんちゃのレビュー・感想・評価

車夫遊侠伝 喧嘩辰(1964年製作の映画)
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これは最高だった!!
批評家の話を聞き半信半疑で観たのだが、全カット良かった!!
まず内田良平が演じる主人公が、顔からして最高!
キャラクターも、自分のなかに矛盾を抱えることを極端に嫌う、超絶めんどくさいド変人。不器用ながら粋でいなせで優しい、などという任侠テンプレ、ステレオ的なキャラクターではなく、人間としてキチンと筋のとおったキャラクターだったところが、この映画がただの任侠映画ではないところだと思った。ヤクザがただカッコつけてるだけという映画ではまったくなくて、この真っ直ぐすぎる男が周囲を巻き込みながらも自分のやりたくないことは絶対にやらず、直感的にこうしたいという行動だけをとっていった結果、悲壮感を漂わせながらも前向きなエンディングにたどりつく。良い映画だった…!
シナリオ的には、全登場人物がどこか芯のあるキャラクターになっているので、誰を見てても面白いし、みんな見せ場がある。
意外にも主人公 車屋 中井辰五郎はヤクザではなく、ヤクザが惚れ込むくらいの侠気のある車夫。設定も凝っていてただの車夫ではないことに誇りを持っている。大阪の駅前を仕切っているヤクザ西川一家。西川一家の女好き親分の西川弥三郎が贔屓にしている人気芸者 喜美奴。彼女が気の強い芸者でありながら結婚に憧れているという初々しい感じが丁寧に描かれていて良かったし、あとで辰五郎にそれを踏みにじられた時ブチ切れるのも良かった。承認欲求がめちゃくちゃ強いやさぐれ柔術家 矢島竜雲。辰五郎の弟分である銀次郎と喜美奴の妹分 玉竜。みんなそれぞれが伏線を持っているし、大切に描かれている感じがして好感が持てるシナリオだった。敵役にもさりげなく救いがあるのがすごいなとも思った。

シナリオ、キャラクターともに最高なのだが、とある批評家のいってた通り、映像の構図もかっこよかった。ローアングルなどを駆使して映像のなかに空間を感じられるようにつくられていて、全カットキマッてる。
黒とグレーと白の構成も良く、シナリオに乗っかって雰囲気がすごく伝わってくる。

めっちゃいい映画でした…
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