リタ・ヘイワースがファム・ファタールを演じるハードボイルド系フィルム・ノワール。
オーソン・ウェルズはチャンドラーをやりたかったんだろうか
有名らしいクライマックスの合わせ鏡部屋のシーンはモノクロの画と合わさって異様な雰囲気を醸し出し、いま観ても出色の出来。
正体を表したリタ・ヘイワースの虚無の瞳にはぞっとする。
テンポよく進めるため主人公のナレーションが頻繁に使われるのも小説っぽい。
グリズビーの怪しすぎる挙動やブルームの予定外の干渉、バニスターによる法廷での(必要以上に尺を取る)弁護など、やたらと手が込んだプロット・展開は若干回りくどいが、冒頭に拾う銃や食い合うサメのメタファーなど意外と伏線はしっかりしている