むぶどん

王様と私のむぶどんのレビュー・感想・評価

王様と私(1956年製作の映画)
3.9
近代化を推し進めるシャム王国の王様とイギリスから来た家庭教師とのロマンスをじっくり……ではなく常識の違いに苦悩しつつ認め合おうとする2人のお話。べたべたラブストーリーはサブキャラがやってくれるからよ……
史実を元にしている割には王様の描写がいくらか間抜けすぎるように感じるけど、その点こそが本作の旨み。
何かと我を通したがる強面ながらシャム王国の近代化に独り悩む真面目さや、それとなくアンナに助けを求める不器用さに心惹かれること間違いなし。無邪気な笑顔がたまらんですよ。
後半にようやく来るShall We Dance?のシーンは王様の魅力がたっぷり、終盤直前の総決算と言っていい。そこからはあれよあれよと露骨に結びに突っ走ってしまうものの、物語的意義あってこその忙しなさだと思います。
歌と王様以外の魅力としては、中盤の劇中劇「アンクル・トムの小屋」。他のどのミュージカルシークエンスより時間が割かれており、シャムの伝統をリスペクトして作り上げたであろう舞台の迫力にどんどん引き込まれていく。史料的価値も高いはず。面白かったです。