YokoGoto

レイチェルの結婚のYokoGotoのレビュー・感想・評価

レイチェルの結婚(2008年製作の映画)
3.6
ー心がきしむ音がするー

『羊たちの沈黙』『フィラデルフィア』のジョナサン・デミ監督作品。
更生施設に入所している主人公(アン・ハサウェイ)が、姉の結婚式に出席するために、数日間、久しぶりに家族と一緒に過ごす。言葉にならないほどの家族とのひずみのなかで、つらい過去と家族の摩擦が表面化していく物語。

全編通して、ドキュメンタリー風の画づくりにしている所が、観る側の心をザワザワさせてしまう。
落ち着かないカメラワークと、心を病んでいる主人公が共鳴するように、とにかく落ち着かない。

いわば、優等生の姉と問題児の妹。
めいめいに、言葉にならないひずみを抱えているのだが、それが次第に表面化していく。シナリオの中で、上手にそれらが表現されていて、なかなか流石だなと思った。

ドキュメンタリー風なので、そこで起こっていることが作り物に見えないのが、後半になってジワジワと効いてくる。

家族の間に何が起こったのか、ほとんど説明されないが、自然なシナリオの中で明らかになっていく。それを見事な演技で表現しているのがアン・ハサウェイ。彼女は、こういう演技もこなせるのかと驚く。綺麗な顔をしながらも、幅の広い演技をこなすあたりは、流石だなぁと思った。

姉の結婚式にまつわる、なんの事件も起こらない数日間なのに、主人公の痛みをキリキリと観ている側に追体験させるシナリオと演出は素晴らしいと思う。
YokoGoto

YokoGoto