猫脳髄

妖星ゴラスの猫脳髄のレビュー・感想・評価

妖星ゴラス(1962年製作の映画)
3.9
本多猪四郎監督に円谷英二特技監督と、ゴジラとウルトラマンがフュージョンするとどうなるかと言うと、結果なかなかの鬼っ子作品になってしまった。いろいろと突っ込みどころはあるものの、妖星との衝突を避けるために、地球を異動させるという今見ても奇想天外な設定と、南極大陸に推進力のためのジェットパイプ基地を造成する壮大な特撮ジオラマはなかなか胸アツである。

池部良に上原謙、志村喬といった科学者たちが人類の英知を集めて難局を乗り切る一方で、久保明らロケットパイロットたちの命がけのゴラス観測行など、地上と宇宙でのドラマがそれぞれしっかり描写されている。ヒロインの白川由美も美しい。

しかしそこは鬼っ子、南極で前触れなしに「怪獣」が現れて基地を破壊したり(なんか雑なセイウチ風だし)、ロケットパイロットたちがおよそエリートとは思えない無軌道ぶり(「俺ら宇宙のパイロット」なる珍テーマを熱唱する)だったりとどうも硬派な筋に水を差すようなところが目立つ。石井歓による重厚な音楽(伊福部ぽいが)も好ましいが、どうもゴジラとウルトラマンは並び立たないところがある。
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