1958年の大晦日。ニューヨークのビルから飛び降りようとする男に何があったのかを過去を遡っていく話。
この前、フランシス・フォード・コッポラの新作『メガロポリス』の本編映像が公開されて、そこで本作の有名な終盤とそっくりなシーンがあったので鑑賞。
監督はコーエン兄弟。脚本にはサム・ライミも加わり、主演はティム・ロビンス。脇を固めるはジェニファー・ジェイソン・リーとポール・ニューマンなどなど、個人的には全てがどストライクすぎる組み合わせ。
まずジャケット写真でティム・ロビンスが持ってる通り抜けフープみたいな赤い輪っかはなんやねんと思ったら、ただただ普通にフラフープで笑った。めちゃくちゃフラフープ映画。
ジャンルで言えば普通の風刺コメディなのだけれど、冒頭で「謎」を提示し、それを少しずつ解き明かしていくという『市民ケーン』の「バラのつぼみ方式」にもなっているのが若干ミステリー映画っぽくて、集中力を途切れさせない良い構造だなと思った。
またビリー・ワイルダーやフランク・キャプラ、エルンスト・ルビッチの往年の名作を見事にコーエン色にマッシュアップしたような内容で、分かりやすいもので言えば『アパートの鍵貸します 』や『素晴らしき哉、人生!』『群衆』辺りのオマージュが沢山あってハッとさせられた。あとはヒッチコックの『めまい』っぽさもある。
古典的な土台の上で全く新しいことをする。初期のコーエン兄弟作品らしい遊び心満載の映画でめちゃくちゃ好きだった。とにかく真面目に不真面目。最高。
ああ。もうすぐコーエン兄弟監督作を全て制覇できそうだからドキドキしてきた。