ユカートマン

アレックスのユカートマンのレビュー・感想・評価

アレックス(2002年製作の映画)
3.9
ある一人の男が狂気にかられながら人を探している。どうやら探しているのはレイプの犯人らしい。しかしゲイバーへ訪れた男は犯人を突き詰めたと同時にボコボコにされる。一体この男に何が起こったのか。時間が進むごとに過去へ遡り、謎が解けていく物語。

ギャスパーノエ監督は東京を舞台にサイケとバイオレンスが同居するエンターザボイド以来。そのストーリーとカメラワークから鬼才と呼ばれるが、私からしたらマジキチ映画作家。この映画もエンターザボイド同様、俯瞰でぶっ飛んでる視覚体験が楽しめた。8分に渡るレイプシーンが有名なんだけど、ヴァンサンカッセルの顔がボコボコにされるシーンもなかなか見応えがある。幸せな人々が崩壊するありふれた悲劇とちがうのが、悲劇から始まって幸せな瞬間にさかのぼるものだから、幸福がより一層深まって本当にかけがえのない幸せな瞬間に見える。その証拠に前半のバイオレンスと対照的な後半の官能的なシーンは昇天してしまいそうなほどロマンチックに感じてしまった。ちなみにスペクターでボンドが引っ掛けた犯人の奥さんのイタリア人女(おばさん)がアレックスらしい。息をのむほど美しかった。

あとベッキーがゲスの極みを彼の妻から奪った、とされているし私もそう思っていたが、ゲスの極みはモノではないので奪ったという表現は不適切であり、嫁を捨ててベッキーに乗り換えるという判断をくだすのもゲスの極み自身であった、という「不倫観」がこの映画の中で唱えられていて、なるほど自分にはこういう考えが足りないんだなと実感。

私はこの監督が大好きなようだ。4/1から始まるノエ監督の新作 LOVE 3Dも、噂によるとかなりのポルノだとのこと。何(ナニ)が飛び出すのだろうか?楽しみで仕方がない。
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