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決戦の大空へのmhのレビュー・感想・評価

決戦の大空へ(1943年製作の映画)
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日本が大日本帝国だったころの、海軍省(と情報局)が支援して作られた国策映画。
みんなも予科練に志願しようぜって内容。
あの原節子が、戦意高揚なセリフを唱えてくるので、くらくらくる。だって、未成年を志願させようとしてるんだぜ? 別の世界線の架空の映画みたいで、見るドラッグといっても言い過ぎじゃない。

同時に資料的価値がめちゃくちゃ高い。
まず冒頭の飛行シュミレーターに驚かされる。昭和十八年にあんなリアルな飛行機操縦のシミュレーションが可能だったのだ。
兵舎にハンモック吊って寝起きし、同じ場所で授業を受け、また同じ場所で食事を取るという予科練習生の生活や、そこで行われていた教練が映像で残ってる。
本物の生徒たちの授業風景を撮影していると思われるのだが、ざっと彼らの半数以上が太平洋戦争で散華している。ここに躍動する姿が残っている若者たちの命はあと一年から二年しかないのだった。
意気軒昂な映画と、実情が乖離していることに言葉は出なくなる。

かつて日本もこんな映画を作っていたということ自体が、反戦につながる。そういった意味で、とても貴重な映画。
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