c

今年の恋のcのレビュー・感想・評価

今年の恋(1962年製作の映画)
3.8
姉を持つ一郎と兄を持つ光の高校男子の友情と彼らの姉兄の恋模様が、互いに絡み合いながら面白おかしく繰り広げられる。
恋模様に目がいきがちだが、同時進行で描かれる思春期真っ只中の男二人の思想や行動は、胸の中にあるわからないどろっとした感情を思いださせてくれて、とてもいい。姉と兄が自分たちを巡り、ひどくやかましいのに対し、彼ら二人は驚くほどに興味がない。二人の何物にも拠らない在り方を見ているのは楽しい。二人自身はつらいのだろうが。
ラストシーンが、年末の新年を感じさせる神社のシーンであることに『今年の恋』というタイトルセンスの良さを改めて感じる。

姉を演じているのは岡田茉莉子なのだが、ガミガミと弟に説教する様がたまらなくいい。怒ってる時の眉毛の角度?形?がいいんだ。
あと、光の憂鬱気な表情が『大人は判ってくれない』のアントワーヌ・ドワネルに似ている。その光を演じているのが、若い頃の田村正和であると分かり、驚き。とても素敵だった。
c

c