桃

オーケストラの少女の桃のネタバレレビュー・内容・結末

オーケストラの少女(1937年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

映画好きの大先輩に勧めて頂き、鑑賞。
大好きな映画の1つになりました。

非常に希望に溢れたストーリー。
作品中でも、"おとぎ話だから実現しないよ"と嗜められるシーンがありますが、
おとぎ話こそ、みんながそれを見たがるというのも事実。
諦めなければ、自分次第で道は開ける。

あらすじとしては、失業中のドローンボーン奏者の父の勤め先(楽団)がなかなか決まらず、困っていたところ、
ひょんなことから、"楽団をつくってしまえばいい"という知恵をもらった娘のパトリシアが、実現に向け、奔走するという話。

スポンサーをみつけたと思いきや、"無名の楽団に誰が支援するか"と言われ、
じゃあ有名な指揮者を…と大物指揮者ストコフスキーに(少々非合法な手も使い)こぎつける。

めちゃくちゃな部分もありますが、フィクションであることと、子どもが主人公で更に同情を誘う内容から、ご愛嬌。
ただただパトリシアは失業中の100人の実力ある演奏者達を救うべく、何度も訴えを続ける。
(隠れて忍び込んでは羽付き帽子でいつもバレてしまうのが可愛らしい。)

純粋な情熱がすべてを解決するという話ではないが、
少なからずパトリシアの機転が作用していて、あとは父の音楽を聴いて育った確かな耳、歌唱力でチャンスを掴む土壌に立てたというのも大きい。

好きなシーンはいくつかあるが、2つ抜粋。

1つは、指揮者ストコフスキーへの交渉に挫折してタクシーに戻ったシーン。

練習場で歌声を聴いたタクシー運転手が、

"夢を諦めるな、忍耐力が大事だぞ"
と慰めると、

"あなたならいつまで待てるの?"
と聞きながら、
"いまはお金がなくてタクシー代が払えないの"
とさりげなく話をすり替えていて、
この状況でもさりげなく自分の力で対処してしまう、しなやかさに笑いました。

もう1つは、やはりラストのストコフスキーの家での、失業者オーケストラ達の演奏シーン。
思わずストコフスキーの体が動き始めるのが最高に良かったです。

これは、困難に負けてしまいそうになった時に、もう一度観たい映画です。
桃