ポンデリング山田

悲しみは空の彼方にのポンデリング山田のレビュー・感想・評価

悲しみは空の彼方に(1959年製作の映画)
5.0
メロドラマの巨匠、ダグラス・サークの遺作であり最高傑作!

ここまで普遍的で素晴らしい作品が今まであっただろうか、ある2つの家族の10年間の物語。彼等のその時間は憎しみであり喜びであり苦悩であり、そして愛である。

黒人という理由で差別されるアニー家族が悲劇的すぎる。差別されることを望まずして生まれてきたことを悲しみ、嘆いても差別は無くならない、そして生きていかなければならない不条理さに苛まれながらも愛を偽り生きようとする。それを後悔しても世の中は変わらず失った物は大きい。

最初は女優の女性が主人公かと思ったが、アニー家族が主人公っぽい展開になったけど違う、みんながみんな主人公だ。当たり前の事だけど、この作品を見て改めて気付かされた。

2つの家族の10年間を124分で描いている訳だが「風と共に去りぬ」や「アラビアのロレンス」でも、長い年月を長い上映時間で見せることが多い。しかし、この作品は10年を無駄なくコンパクトに描いていて短いながらも満足度はそれ以上だった。ラストはもう号泣、多分今まで見た映画で1番泣いたかもしれない。

少なからずただの悲劇でなかったことは確かだ。