取り上げている題材やキャラが多いのに無理矢理100分で収めているため、物語が濁った状態で進行し今一つ全体の内容を掴めないまま映画が終わってしまう。
それでもラストの台詞で監督のメッセージがダイレクトに伝わってきて感動する(タイトルを見た時点で監督が何を言いたいのかわかるけど)、森崎東監督の作品はいつもそうだけど観賞後生きることに前向きになれるね。
あと内容は混沌としていても、監督の言いたいことが映像から仄かに伝わってくるって結構凄いことだと思う。それに森崎監督の演出はごった煮の状況にも関わらず語り口はスマートなためテンポよく物語は展開し、映画を停滞させることはないという神業的なテクニックに感嘆する。
そして空中に浮かぶ花嫁衣裳と雨だけで何が映画に起きたのかを示唆させる演出の奇跡、凡人なら見せ場だからとくどくどと何が起こったか説明カットやこだわった映像を撮りまくるはずなのにあっさりとしたショットで処理するのが才人たる所以なのだろうな。