個人的ベストなキタノ映画。
主人公とヒロインが一切喋らず、説明しすぎない、映像と音楽だけで人の切なさ・哀れみを描いています。
「無表情、無言のままカメラに向かってじっとしている」
というコマがよく出てくるが、これが独特の間というかリズムを作っています。
この表現方法が「やりきれなさ、情けなさ、哀しみ、切なさ」といった感情を演出しています。
そして久石譲の劇中音楽で、よりその感情が人々のなかに入っていきます。
ラストシーンの解釈は人それぞれですが、キタノ映画の中でもっとも死の切なさ・哀れみを感じるシーンです。個人的にキタノ映画において、海は死を暗示させるものだと解釈しています。海は美しいですが、死の哀れみや絶望ももっているのです。