先の夫を若くして亡くし、勘定方の磯村に嫁いだ野江だが、武士というより商売人のように金銭に卑しい夫や舅姑に馴染めずにいた。
春、生涯嫁がずに亡くなった叔母の房の墓参りの帰り道、野江が道端にふと咲いていた山桜に心を惹かれ手を伸ばしていたところ、通りがかった武士、手塚が手折って差し出してくれた。彼は実は野江を見初め、縁談を申し出ていたのだが、母一人子一人であったことや剣の使い手に良い印象のなかったことから断っていた相手だった。
しかしその日から、野江の心の中に手塚の存在が大きくなっていく。
藤沢周平の小説を元にした映画。
爽やかで控えめな、落ち着いた展開。
誠実な手塚と奥ゆかしいが芯のある野江の回り道の話。
