ふれでりこ

いのちの食べかたのふれでりこのネタバレレビュー・内容・結末

いのちの食べかた(2005年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

私はヴィーガンじゃないから、日々肉を食べる。
食べるからには、きっと観た方がいいな、と思って鑑賞を決めた。

私の祖父はよく「食べ物は、いのちだから。食べるからには、しっかり生きなさい」と言っていた。
ある時、ふと「食肉になる動物たちは、誰にも弔われることはないのだ」と思い至り、それからは私の食卓は動物たちの葬儀だと思っている。
出来る限り美味しく料理して、手を合わせて、残すことなくいただいて。
動物たちからしてみれば、なんの足しにもならないだろうけれど。

映画の中でベルトコンベアを流される、生きたままのひよこや鶏。時には放り投げられ、まるで物であるかのように扱われていた。
動けないように固定された豚、食事の牧草を機械で叩きつけられる歪な体型の牛、鮨詰め状態の中、生かされる動物たちは殺されるより残酷な目に遭っていた。
動物たちの悲痛な叫び声が、耳から離れない。
魚の臓器を吸い取る機械は、なにかの動物のようだった。
豚の裂かれた腹から零れ落ちる臓器に、いのちの美しさを感じた。
牛の帝王切開は初めて見たな。

印象的だったのは黙々とサンドウィッチを食べる女性と、ガムを噛みながら淡々と豚の足をちょん切っていく女性。
働く人たちも、相手が生き物であると思ったらやってられないだろう。
この仕事をしてくれる方々のおかげで、私たちは日々、肉を口にすることが出来ている。

最初から最後まで淡々としていて、体温も愛情も感じられなかった。
これが食肉になる動物たちと、私たちの現実なんだ。
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