Q太郎

生きものの記録のQ太郎のレビュー・感想・評価

生きものの記録(1955年製作の映画)
3.5
当時35歳の三船敏郎が老人役。モノクロということもあり違和感なく素晴らしい演技であった。これが七人の侍の次の作品とは思えない変わり様。作品も前作とは打って変わって社会派作品となっており、残念ながらヒットはしなかったとのこと。

水爆の恐怖から安全と言われているブラジルへの移住を家族に訴える三船。当然そんな意見には頷けない家族。当然突拍子もなく水爆の恐怖を訴える三船に感情移入できず、かと言って頭ごなしに三船を否定する家族にも感情移入しにくい。

調停委員の志村喬と同じように我々はこの家族を少し距離を置いて傍観するしかない。そんな映画。黒澤も我々が三船演じる老人に感情移入しないことは百も承知で、その事により問題意識のなさを我々に問うている。

いろいろと考えさせられる映画であるが、個人的にはこの手の映画はあまり得意ではなく評価はやや下がりました。

ほとんどセリフはないが、千石規子が妙に印象に残ります。
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