似太郎

シコふんじゃった。の似太郎のレビュー・感想・評価

シコふんじゃった。(1991年製作の映画)
4.5
【勧誘】

そのエリート・優等生的な演出がたまに鼻白む周防正行だが、これは例外的に面白かった。とことん型破りな設定なのに、全体を通して調律が取れていたからだろうか?

ひょんなことから大学生の秋平(モッくん)が相撲界へと引きずり込まれる不条理な内容で『Shall we ダンス?』や『それでもボクはやってない』とほぼ同一構造。人を食ったコメディとしく興味深く観れる。

カフカ的不条理世界とも取れるブラック・ジョークに満ちた青春映画で、一応爽やかな後味ではあるのだがどこか物語構造的なイビツさが際立っており、周防正行流の変なセンスが光っていた。竹中直人はいつ観ても素っ頓狂な役柄。

ヒロインを演じる清水美沙も和製ジュリエット・ビノシュみたいな小柄な役柄で魅力的だったな〜。

★ちなみに私の父親(映画監督志望)は1956年生まれで立教大学に入学したのだが、同い年の周防正行や黒沢清や森達也のことは全く知らなかったと話していたのが印象的。当時大学で教鞭をとっていた蓮實重彦の授業に関心が無かったのか単に情報が少なかったのか、知らんけど…。結果的に横浜放送専門学校(現・日本映画大学)に入って校長の今村昌平の授業を受けることになる。チャンスってなかなか難しいものですねえ。
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