まっと

ワイルドバンチのまっとのレビュー・感想・評価

ワイルドバンチ(1969年製作の映画)
4.5
実は様々な「笑い」のシーンが随所に登場する。

「笑い」といってもギャグという意味ではなく、「黙って笑うだけ」で意思疎通するシーンのことである。

例えば、エンジェルが昔の女を撃ち殺し、あたり一面騒然となるが、撃った理由を話したことで、広がっていく安堵の笑い。
あるいは、列車強盗の後、酒を回し飲みし、最後のひとりに渡る前に酒瓶がカラになってしまった時の全員での哄笑。
または、エンジェルの仲間に武器をパクられた後のやれやれ感漂う苦笑。

そしてエンドロールの時に浮かび上がる登場人物達の顔もすべて笑っているのだ。

それぞれの笑いが言葉よりもずっと多くの意味を含んでいる。
男同士は黙っていても笑いひとつで通じ合うものなのさという美学なのだろうか。

最後の4人で並んで対決に向かうシーンなども考えると、西部劇というより時代劇や任侠ものに近いメンタリティが流れているのかもしれない(ちなみに、たった4人で数百の敵と戦うという滅びのラストは、サソリが無数のアリにたかられて死んでいく冒頭シーンで不気味に予見されている)。

あと、女をモノ扱いしていると批判される本作だが、ちゃんと最後に女に背中から撃たれているし、おまけに子ども兵士にまで撃たれている。

男の身勝手な美学は女子供によって見事に崩れてゆくのである。
まっと

まっと