荒野の狼

赤い風船の荒野の狼のレビュー・感想・評価

赤い風船(1956年製作の映画)
1.0
生まれて初めて見た仏映画、オリジナルでは風船はここまで真っ赤じゃなかったので、どうもこのリマスター版の色彩はクドすぎる。だからかえって燻んだパリの街並みが安っぽく見えてしまう恨みも拭えない。風船が萎み踏みつけられて潰れるシーンこそ、この映画の真骨頂なのに、赤さが強調されて残念ながら漫画的で軽薄な印象になってしまった。この「アカ」の象徴する様々な意味もコントラストが効き過ぎて台無しである。かつては「特殊撮影」と言われた技術も、今ではデジタルでどんな効果も可能になった代わりに、滋味(味わい)がなくなったのはすでに誰もが知るところである。
これまで革命や戦争のパリで流された多くの「血」の赤、あるいはジャポンの日の丸の赤、そしてそれがパステルカラーとなって地上を離れ空に登ってゆくラストのメルヘンタッチがコミック(劇画)タッチになってしまった今作を見るにつけ、デジタルの無神経(ダメだこりゃ)さを思い知らされたのである。その意味では褒められた(笑)リマスターかもしれない。
⚫︎オリジナルは、星3.5
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