よしおスタンダード

赤い風船のよしおスタンダードのレビュー・感想・評価

赤い風船(1956年製作の映画)
4.1
No.2857

この映画の美しさは、

本編が始まって最初のカットが映った瞬間、に決まっている。

早朝、淡い光の中で、遠くに街を望む少年の姿・・・これがファースト・シーンだが、とんでもない美しさ。

タルコフスキーのようである。

風船の大きさ、発色、質感が、まず絶妙である。

絶妙な風船が、絶妙に動き回る。

主役はあくまで風船なのである。

そして、ラストになってようやく、少年が主役になるのである。

この映画は、セリフが数えるほどしかないが、

オスカーで脚本賞を獲っている!

当時のアカデミー会員は、粋な人が多かったんだなぁ。

ラモリス監督は、惜しくも事故により48歳で早世してしまうが、

ラモリスといい、タルコフスキーといい、どうして、美しい映画を撮る監督は長生きできないのか・・・。