No.2857
この映画の美しさは、
本編が始まって最初のカットが映った瞬間、に決まっている。
早朝、淡い光の中で、遠くに街を望む少年の姿・・・これがファースト・シーンだが、とんでもない美しさ。
タルコフスキーのようである。
風船の大きさ、発色、質感が、まず絶妙である。
絶妙な風船が、絶妙に動き回る。
主役はあくまで風船なのである。
そして、ラストになってようやく、少年が主役になるのである。
この映画は、セリフが数えるほどしかないが、
オスカーで脚本賞を獲っている!
当時のアカデミー会員は、粋な人が多かったんだなぁ。
ラモリス監督は、惜しくも事故により48歳で早世してしまうが、
ラモリスといい、タルコフスキーといい、どうして、美しい映画を撮る監督は長生きできないのか・・・。