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プラダを着た悪魔のmiporingoのレビュー・感想・評価

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)
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わたしにとってはなんとも評価しづらい映画。なぜかというと、わたし自身も若いころにファッション業界に身をおいており、しかもその会社のナンバー2が「女帝」として君臨していたという経験があるから。とても冷静に観てはいられなかった。たしかにファッション業界は、美しい素材、デザイン、カラーが溢れ、最新のコレクションやトレンドの情報が行き交い、わくわくすることの多いところではある。身に纏うものによって気分があがったりやる気が出たりすることもファッションの素敵なところだと今でも信じてる。だけど、この映画の中での出来事と同様、職種にもよるけど毎日着るもののファッションセンスや新しさを無言で評価され体型についても歯に衣着せぬ発言をされ、新しい服を着れば「それどこの?素材は何?」と、男性社員も遠慮なくスカートの裾を触ってくる。重いものを運ぶ時もお洋服のたくさん掛かった銀ラックを移動させる時も、ハイヒール。そんな時代の、そんな業界だったんですよね。。。という個人的経験を置いておいても、「痩せたバカより利口なデブを採用した」なんて言うのはルッキズムであきらかにセクハラだし、自分の会社の雑誌のやりなおしならいざ知らず、メゾンのコレクションをぜんぶやり直しさせるなんて、メディアの圧力でありパワハラで、それによってどれだけの労力や時間が無駄になり、さらに費やされるか。ピンヒールが強要されることも今じゃあってはいけないこととされる時代になっている。ましてや上司の子供の宿題をすることなんて、「仕事」ではありませんからね。ファッションの楽しさとか、ほんとうにやりたいことを思いだし、それを実現することとか、この映画の伝えることはわかるしメリル・ストリープは(女優としては)とてもよかったし、アン・ハサウエィは可愛かった。でも、でも。。。 若い方たちには、「もう時代は変わっている」という視点で楽しんでもらいたいと願わずにいられない。
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