Shun

プラダを着た悪魔のShunのレビュー・感想・評価

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)
5.0
長らく、「主人公が垢抜けてキラキラするだけのゴミ映画」だと思って見てなかったが、「美しく生きる」ということの本質を問いかける名作だった。

「表面的な」美しさに直結するファッション業界という題材がミスリードになっていて、実態は主人公と上司の、全く異なる形の「美しい生き方」を伝えるストーリー展開になっている。

上司のように「他の何よりも仕事を優先する生き方」でも、物語終盤の主人公のように「仕事よりも周囲の人々を大切にする生き方」であっても、信念を持ってその生き方を選択する事は美しいのだというメッセージを感じた。

特に印象的なのが、最初のシーンと、最後のシーンでの主人公の服装。
どちらもオシャレではないことから、一見「元の主人公に戻った」かのように見えるが、実は内面が全く違う。

最初は何も考えずなんとなくそこにあった服を着ていた。しかし終盤では、作中の様々な経験を経た上で「信念を持って」その格好をしており、見た目は同じでも「ダサい主人公」ではなくなっている。

これが、ファッションなどの表面的な部分とは違う「生き様の美しさ」を力強く表現した秀逸な対比になっていると思った。

サクセスストーリー的な面白さもあり、哲学的なメッセージもあることから、度々話題になったり、高い評価を得ているのも頷ける名作。
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