オヂサン

プラダを着た悪魔のオヂサンのレビュー・感想・評価

プラダを着た悪魔(2006年製作の映画)
4.8
仕事で凹んだ時、上手くいかなかった時、取り返しがつかない事をしてしまった時、上司とそりが合わなくて困っている時、仕事を取るか恋愛を取るか悩んでいる時…はたまたこの仕事は身を裂いてまで自分を捧げるに値する会社なのかと考える時。

そんな時に何度もお世話になっている映画。

どんなにモンスター上司であろうと、会社から一歩離れれば私生活があり生身の人間に戻る瞬間が必ずある。どんなに酷いことをされようが、ふと私生活での意外な一面が見えた時に情が湧いてしまったりもあるかもしれない。それでもその人に有限な時間を割くかどうかは別の話。

負けん気の強い主人公を観ていると「なにクソ!私だって一発かましてやるわ度肝抜いてやる!」なんて力が湧いてくるし、ナイジェルの説教はいつ見ても目が覚めて自分の今置かれている状況を冷静に気付かせてくれる。一緒にドヤされた気分になるので頑張ろうと踏ん張る気持ちをもらっています。

最初のアン・ハサウェイをいかにモサく、いかに太く見せるかによって最初の化け具合の驚きが変わってくるのでこの映画は凄い。化けた瞬間の前髪パッツンハサウェイが細くて美しくて可愛い…この映画のために絞ったそう。作成秘話が聞ける特典映像も面白かった。


▼追記(ネタバレ)











何度観たか分からないのだけど、今更ミランダがナイジェルにした仕打ちを理解した。ミランダは自分の保身の為、自分の敵をそばに置く事で危険を回避し、結果的に献身的に尽くしてきたナイジェルの出世の約束をドブに捨て踏み潰したのだ。大人になってから時間の大切さを思い知らされた。大人になってからのまた次、は来ないかもしれない。

自分で選択してきた事を他人に責任転嫁していた主人公の気持ちと、仕事だから仕方ないよね…という甘さがなんとももどかしい。夢の職場に入るため期限を決めて雑誌製作の会社に入社。「夢のためだ」とその会社に魂を売り、どんどん脱線して道を踏み外し、近しい人たちが離れていった所でやっと自分の責任で選んだ道の重さを理解した主人公。何も学ばなかったわけでなく、そこで得た経験を自分らしく活かして次の職場に挑む彼女は清々しかった。
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