このレビューはネタバレを含みます
太鼓のシーンで急にカメラワークが動き出す演出、鳥肌立っちゃった。
最後までプラトニックだったことが、松五郎の魅力を爆増させている。最後まで、優しくて強い頼れるガキ大将のままでいてくれた感じ。
時々挟まれる車輪の描写は、まさに松五郎の人生を象徴している。いくつになっても変わらない朴訥さで走り続ける松五郎の生き様は、同じスピードで軽やかに回り続ける車輪と結びつく。
一方で、他に生き方もなく俥夫として生きていくほかない事実も、回り続ける車輪と重なる。また、子どもが大人に成長し変化しても、自分の奥様への想いが徐々に募っても、何が起きても時は待ってくれることなく進み続けるということも、回り続ける車輪から連想される。
もっと言えば、俥夫という、自分の足で好きに軽やかに方々を走り回る職業が、すごく松五郎の生き様にリンクしているかなあ。
2021.13本目