無法松の一生の作品情報・感想・評価

「無法松の一生」に投稿された感想・評価

このレビューはネタバレを含みます

東京国際映画祭で上映されていた作品だと思って借りたが、同じ監督によるリメイク版の方だった。

荒くれ者で一本気な性分だが心根が優しく皆から慕われる主人公の松五郎は、いかにも快男児然としていて三船敏郎にぴったりのハマり役。

懇意だった軍人が亡くなり、遺された妻と息子を気にかけ始めてからが物語の肝に。

運動会で奮闘する松五郎の姿を見ていじめられっ子で気弱だった息子が感化されるシーンが印象的。

未亡人に恋心を抱き本気になりかけた瞬間、世話になった亡き軍人の遺影を見て翻意するシーン、そしてラスト付近が堪らなく切ない。
Hiromasa

Hiromasaの感想・評価

3.0
映画として評価するなら、ありもしない「前近代」を無理やり描き出そうとする映画でわりと白けてしまい、そんなに評価できない。ただ泣けるか泣けないかで言うなら、泣ける。無法松のような男の一生は、いまだに私たちの人生と深く関わっていると思う。

あと、この映画を見たら、大月隆寛『無法松の影』という本を読んでほしい。
1943年版は拝見しておりませんので、比較のようなことは出来ませんが、普通に現代人の私が観ても、古臭さで映画に飽きるようなことは一切なく、映像もキマってて、はっきりとしたことは分かりませんが、恐らく当時としては画期的な映像も多々あったのではないでしょうか。非常に面白かったです。

やはり三船敏郎の映画を観ると、こんな人になりたいなぁと、ただ純粋に憧れます。三船敏郎は「憧れる役」を上手に演じてくれます。

個人的に本作で一番好きな場面は、高峰秀子が三船敏郎に一人息子の呼び方を「ぼんぼん」ではなく「吉岡さん」とでも変えてほしいというところです。今まで散々お世話になって、育ての親同然なのに、赤の他人とでも言わんばかりに「吉岡さん」と呼んでほしいなんて、ちょっと高峰さん、酷いじゃないですか。あの時の三船敏郎の顔、観ていられませんよ!ただ、この顔がなんとも言えない表情で、私としてはたまらんのです。息子と亡き夫の為に後家を通す心の強い女性と、彼女とその子供をひたむきに愛する豪快で少し不器用な男。なんていうか、ノスタルジックでありながら、普遍的でもあり、色褪せない名作とはこの映画のことを言うのだと思いました。
Taul

Taulの感想・評価

4.0
『無法松の一生』(1958)どうしても1943年版との違いに眼がいくがヴェネツィア国際映画祭金獅子賞というのも納得。稲垣浩監督の執念とも言えるリメイクに応える三船敏郎と高峰秀子の貫禄の演技に惹き込まれる。東宝スコープで見る無法松の人生も鮮やかで迫力があり、これもまた強く心に残る。

2011年1月鑑賞
Kv551

Kv551の感想・評価

4.0
阪妻版を受けて、三船版を配信で鑑賞。
素晴らしい映画だと思うが、後半ばっさりカットされた前者の方が好きだ。三船も高峰秀子も演技は良いのだが、饒舌に感じてしまう。それとカラーできれいな分、画がのっぺり感じる。思い込みかもしれないが宮川一夫の強烈なコントラストの白黒の画の表現が最高なんだと思う。
稲垣浩監督のセフルリメイクにして、ヴェネツィア国際映画祭金獅子賞受賞作。

どこか品のある愛嬌を見せる旧版の阪東妻三郎にくらべ、無骨で生きるのに不器用な三船敏郎の強さと照れ。
ほとんどおなじ脚本にもとづいているためにオリジナル違いが面白く、ことにスコープサイズの画面を十二分に生かした構図がじつに見事。

前回は泣く泣くカットされたシーンの復活も含め、随所に松五郎の心情がていねいに演出されているのが見どころ。
Yasu

Yasuの感想・評価

4.5
三船敏郎の演技が光る!
荒くれ者で、言葉が悪く、喧嘩っ早い。でも叶わぬ恋をそっと胸に秘め、影から支え続ける。そんな文字通り“漢”の半生。幼い坊との心を通わせてた一時から、成長して松と自然に距離が出てくる様が寂しかった。
そして奥さんへの想いを伝える縁側のシーンは、積み重ねの美学だった。この2人の役者の円熟した演技が、素晴らしい。
泣かせるぜ。
rpmu90377

rpmu90377の感想・評価

3.8
小倉生まれで玄海育ち
口も荒いが気も荒い
(作詞:吉野夫二郎)

ご存知、「無法松の一生」の映画版。原作は昭和13年に発表され、その後、舞台、映画、テレビ、歌謡曲などでたびたび取り上げられている。本作は稲垣浩監督が昭和18年に発表した作品を昭和33年にセルフリメイクしたもの。

小倉の車夫・富島松五郎は喧嘩を始めると手が付けられなくなる荒くれものだが、情に厚く自分に非があると気づけば素直に反省し謝罪する純情な熱血漢であった。ある日、怪我をした少年を助けたことがきっかけで陸軍大尉・吉岡の家に出入りするようになり、吉岡が病死すると、残された妻と息子に献身的に仕えた。松五郎は未亡人にひそかに恋心を抱いていたが、最期まで口に出すことはなかった。

三船敏郎が無法松を圧倒的な存在感で生き生きと表現している。無学ながらも少年・敏雄に男の美学を大胆に教え、未亡人よし子には想いが伝えられず借りてきた猫のような態度で接する。この強弱のつけ方に人間臭さが出ていて好感が持てる。見せ場となる博多祇園太鼓のあばれうちのシーン、どれだけ練習を積んだのだろうか、豪快なばちさばきに全く違和感を感じない。

少年時代の松五郎が遠く離れた場所で働く父親に会いに行くくだり、真夜中の森の中をさまよい歩き妖怪に付きまとわれるシーンはファンタジー感があふれていてまるでディズニー作品をみているようだ。全編に流れる團伊玖磨の音楽も無法松の世界観とかけ離れた洋風のものだが、なぜか違和感を感じない。リメイクといっても単なる撮り直しにならないよう斬新な手法を取り入れたものだろう。
 35年ほど前、高校の頃に初めて観たのが、この三船バージョン。
 阪妻バージョンがまずは大戦中の検閲、さらには戦後GHQによって、ずたずたにされた稲垣浩がルサンチマンを込めて講和条約以降にセルフリメイクし、金獅子賞まで獲った邦画史上の傑作。
 
 オリジナルと見較べると、カラーであることとワイドスクリーンであることを最大限に活かしていることがわかる。
 とりわけ遠景の端っこでずっと松五郎に怒っている英国風紳士の演技を褒めてあげたい。普通は間が持たないよね、あの人の演技。
 
 オリジナル版でカットされてしまった(というか、ここがないと意味わかんないだろうという)終盤の縁側のシーン。
 のちに「男はつらいよ」を49作コンプした私は、やたらに寅がマドンナとの失恋シーンで縁側にいることが多いことに気づいて、「あ、これは無法松だ」と感じたものだ。さらに、寅の名字の「車」って俥屋由来か、と理解したものだ。
 今、ネットで調べるとこれは半ば常識のようだけれど、ちゃんと自分でそれに気づいた私を褒めてあげたい。
 
 大林監督の遺作に無法松が引用されるので、あれを観てから1943年版を観る人が多いだろうけれど、悲しいことに1943年版は20分近く検閲で失われているため、まずはこちらを鑑賞することをお勧めします。
Ibe

Ibeの感想・評価

4.5
明治から大正を駆け抜けるように生きた無法松の男らしさと健気な優しさに心を打たれた。
無法松を演じた三船敏郎さんはさすがと言ったところ。彼自身が無法松なんじゃないかと思えてくるほど、堂に入った演技には凄味があった。
それもあって松五郎への感情移入が止まらない。祇園太鼓を叩くシーンなんかは、恥ずかしがってた坊々が松五郎を見つめる誇らしげな眼差しに、思わず涙が出そうになるくらいだった。

脇を固める高峰秀子さん、笠智衆さんも共に大好きな俳優さん。素晴らしい映画に出会えて良かった。
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