じゃがいもおじさん

悪の教典のじゃがいもおじさんのレビュー・感想・評価

悪の教典(2012年製作の映画)
2.3
貴志祐介の小説を三池崇史が映像化した作品です。原作は読んでます。僕は映画を観る時に原作を読んでいる場合必ず比較して映画の尺に収めるにあたって上手く削るところを削って残すところを残せているかってところを気にしちゃうんですけど、今作は残さなきゃいけない部分、というか悪の教典の面白い部分をほぼ雑に扱っちゃったせいで残念なできになってます。

悪の教典の面白さの8割って超魅力的な主人公であり一番悪いやつ、ハスミンにあるんですよね。うるさい犬→殺す!モンスターペアレンツ→燃やす!可愛い女子生徒→犯す!って具合に次から次へと欲望の赴くままにやっちゃうんですよね、見てる側は自分は絶対にできないことを平然とやっていくハスミンに自然と感情移入しちゃいます。そこに痺れる憧れるぅ!って具合に。
後は厨二的な格好良さ、クラシックを聴いたり悪知恵がめちゃくちゃ働いたりとかもあり、それらが積み重なって初めて最後の大量殺人に繋がるわけですよ。
感覚が麻痺してる見てる側も異常な殺人鬼を応援しちゃうんですよ。

それが映画だと序盤の積み重ね部分が浅いうえ削っていい外国を行っていた際のエピソードに尺を割いています。そしてメインが大量殺人、こりゃ見てる側はポカンとなりますよ。海猿でヒーローイメージが強かった伊藤英明のギャップと変態体育教師までそつなくこなす山田孝之とヒミズコンビでギリギリ保ってるだけで全然だめ!

さすがに制作側も理解はしていたのか前日譚も出してますがそれ見てから見てもイマイチでした。多忙でしかも残虐な描写が得意な三池さんがマイナスに働いた例かな。