EDDIE

悪の教典のEDDIEのレビュー・感想・評価

悪の教典(2012年製作の映画)
4.5
歴史的サイコパス男ハスミンのお出まし。「チッチチーチッチチー」と口ずさむ音が聴こえたらまず隠れろ!

いやー、面白かったー!
貴志祐介の原作については全く知らなかったんですが、原作も映画も結構な問題作だという噂は聞いておりました。
いやぁ三池崇史監督、よくこれを実写映画でここまで表現したなと。
残酷描写は園子温監督の『冷たい熱帯魚』には劣りますが、それでもなかなかに残酷で、しかもこれが見事エンターテイメントとして成り立ってるんですよね。そう、これ大事!
ただのグロで胸糞悪くなる映画も沢山ありますが、本作においては楽しんで観れるフィクションとして存分に楽しめる点が素晴らしい。

まぁあれだけキレ者だった蓮実(伊藤英明)がちょっとしたミスをきっかけに生徒全員抹殺するというのは如何ともし難い設定ですが、その後の蓮実のハンティングと生徒たちの逃亡劇は物凄く観ていて楽しい。
目を覆いたくなる残酷さというよりも、気持ちいいレベルです。これはまずフィクションとして割り切って観れているのが大きいですね。
そして、伊藤英明の表情と演技が、この蓮実という男を演じるために俳優になったんじゃないかと思わせられるほどで見応え十分。常に楽しそうに笑みを浮かべながら、容赦なく殺人を犯していく。

さらに生徒たちと他の先生たちも含めて、よくこんなに芸達者を集めきったなという見事な布陣。先日『ソロモンの偽証』にて、残念ながら学芸会レベルの演技の学生役たちが多数いたので、どうしても比較してしまいます。
本作の生徒は、二階堂ふみ、染谷将太、林遣都、浅香航大、工藤阿須加、松岡茉優、岸井ゆきの、山崎紘菜、伊藤沙莉、永瀬匡ら、今をときめく実力派若手俳優たちです。一部キャストを見るまでは気づきませんでしたが(笑)
で、先生役としても見事生徒の利きパンティーを当ててみせた山田孝之が際立っていました。利きパンティーだけでなく、カッコよくドラムを演奏する様など見所がたくさん。吹越満は本作でも一番見応えのある死に様でした。ほかにもモンスターペアレンツとして抜群の存在感を発揮する滝藤賢一はもう尊いレベル。
ここまで俳優陣がたくさん出演していながら、邪魔することない演技を見せてくれるってホント凄いです。これは逆に三池崇史の演出力でもあるんですかね。

とにかく銃の精度が高すぎるハスミンはもはや漫画のキャラクター的に観ていたので全く気になりませんでしたし、東大目指す生徒の死ぬ瞬間は映画史にも残るレベルの見事なハスミンとの会話のキャッチボール。他の方のレビューにも記載されていたので敢えてここでは書きません(笑)

賛否も多い作品だと思いますが、とにかく本作は“Magnificent”でございました!
EDDIE

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