ろろ

スパングリッシュ 太陽の国から来たママのことのろろのレビュー・感想・評価

3.6
全体的にコメディタッチだし、終わってみればなんとなく丸く収まった的な雰囲気だけど、これ不気味な映画だと思います。

舞台は、メキシコ人女性フロールをハウスキーパーとして迎えるカリフォルニアのセレブ一家。母親デボラは、貧しいフロールの娘に自分の娘と同じ学校に入れるよう奨学金の手配をしてあげようとするし、夫ジョンや彼らの子供らも偏見なくフロールとその家族に向き合ってるように「一見」見える。

でもよく見たら、彼らの誰も「ありがとう」のひとことすら相手の言語で話しかけようとしていない。悪意とか差別意識なく「英語以外の言語を話す人間は自分たちとコミュニケーションをとるため英語を学んで当然」という考えに疑念すら持ってないところに恐ろしさを感じるし、その態度は先の奨学金のエピソードも同様。自分たちの考える善が他文化のもとでは必ずしも善たりえない、ということが想像すらできないんですよね。これ米国の抱える大きな闇だと思います。
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