南北戦争の英雄ジョージ・A・カスターの半生を描いた秀作。
エロール・フリンというハリウッド黄金期きっての美男子が士官学校の入学から南北戦争、そして壮絶なリトルビッグホーンの戦いまでを圧巻の力業で描ききった大作。
随所で大幅な脚色が為されており、ある種の英雄列伝的な装いではあるがこれは彼の死後、カスターの栄光を護ろうとした妻の功績が映画的な醍醐味に変換した結果なのかなと感じた。
(同時にアメリカの当時の彼に対する尊敬の念も感じられる)
映画は常にテンションが高くカスターの人生と同様に若干の破天荒はあるものの飽きさせない。
ハイライトは南北戦争でのドタバタ出世からのゲティスバーグの戦い、なのだろうが南北戦争以降のカスターの苦悩ぶりが描かれてからの後半は大いに見応えがある。
彼は明らかに戦争に翻弄された悲劇の人間だろう。(現代的な側面で見てみると。)
南北戦争後、カスターの新しい赴任先となった辺境の地でどうしようもなくだらしなかった兵隊が栄光の死を遂げる迄に鍛錬と研鑽を積んだ姿は、かつてカスター自身が南北戦争後活躍の場を失い、影の存在になった所を愛妻が救った時のように彼もまた堕落した兵士にその"らしさ"と責務の意味を知り・説き屈指の騎兵隊にしてみせる。
それだけに"酒"に翻弄されたある罠に掛かった時の切なさと怒りといったら。
それが観客にも伝わってくる演出と演技なんだから…昔の御大、方々には本当にリスペクトしてしまう。
そんな愛さずにはいられない第7騎兵隊の連隊歌にもなったアイルランド民謡らしい「ギャリー・オーウェン」。
招集喇叭の様に映画の中で度々こだまするが、その歌の様に映画の中のカスターはいつまでもカッコ良かった。