みおこし

毒薬と老嬢のみおこしのレビュー・感想・評価

毒薬と老嬢(1944年製作の映画)
3.8
今鑑賞すると思わずびっくりの強烈なブラック・コメディ。フランク・キャプラ監督、こういう作品も手掛けていたとは驚きです...!!それにしても邦題の"老嬢"という表現、最近なかなか聴かないですよね(笑)。

ブルックリンの由緒ある邸宅に住むエビィとマーサの老姉妹は、余命わずかな近所の老人たちを招いては毒薬を飲ませ、安らかに眠らせることを繰り返していた。ある日、それに気づいた甥のモーティマーは...。

あらすじからしてかなりコワイ!(笑)もともと舞台劇だったということで、基本的には老姉妹の邸宅の中で物語が進行し、人物が入れ替わり立ち替わり登場。当時流行していたスクリューボール・コメディを彷彿とさせる(というか本作もそれ?)会話のテンポの良さと、ブラックなのについ笑ってしまうシュールなギャグが凄まじい!
ストレートに人間の尊厳や愛情を描いてきたキャプラ監督だからこそ、捻りに捻った内容の本作はかなり異色に感じました。

涼しい顔をして「オホホ〜」と世にも恐ろしい行為に対して全く悪びれるそぶりが全くないおばあちゃんたち。そんな彼らに翻弄されまくりのケイリー・グラント扮するモーティマーが気の毒でならなかったです...(笑)。

さらに物語のキーパーソンであるジョナサンのおどろおどろしさと言ったら!!誰がどう見てもあの風貌はフランケンシュタインだなと思ったら、なんと舞台版ではこの役をボリス・カーロフが演じていたんですね。だから劇中でモーティマーが散々ジョナさんの容姿を「ホラー映画で観たことある!!」といじり倒してたのか(笑)。
自分のことをセオドア・ルーズヴェルト大統領だと思い込んでいる、弟のテディもだいぶブッ飛んでいたし、とにかくここまで登場人物みんな濃い映画はなかなかないのでは...?(笑)
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