猫脳髄

スペースインベーダーの猫脳髄のレビュー・感想・評価

スペースインベーダー(1986年製作の映画)
3.7
1953年の同題作品(原題"Invaders From Mars"(※1))のリメイクだが、1970年代にNASAが実施した実際の火星探査・ヴァイキング計画の実績を踏まえたストーリーとなっている。トビー・フーパ―にとっては前作「スペースバンパイア」(1985)(※2)に続くSF作品であり、脚本は再びダン・オバノンとドン・ジャコビー(※3)が担当している。

典型的なボディ・スナッチものだが、男性ではなく、子どもと女性を主人公に据えてエイリアンに対峙する格好になっている(※4)。両親をエイリアンに乗っ取られた少年ハンター・カーソンと養護教諭のカレン・ブラック(※5)が、追跡をかわしつつ米軍基地にたどりつき、そこからエイリアン対米軍の一大決戦がはじまるという実にスッキリした筋書きで一見嫌みがない。

複雑に入り組んだ古城のような宇宙船の描写や、人類を操るマイクロ装置の挿入シーン(またも串刺し!)とフーパ―らしさも刻印しながら、ド直球の決戦シークエンスになだれ込む。ルイーズ・フレッチャー(カエル丸飲み!(※6))やジェームズ・カレンなど助演のキャラクターも際立っており、よりエンターテインメントに振った作品となっている。それだけにオチのツイストがとても効いており(※7)、一筋縄ではいかない佳作に仕上がった。

※1 邦題はウィリアム・キャメロン・メンジース「惑星アドベンチャー/スペース・モンスター襲来!」(1953)
※2 ハンター・カーソンが自宅で観ているテレビで放映されている
※3 Filmarksのハンス・ジャコビー記載は誤り
※4 オチに関連するかもしれないが、主要人物に有色人種は登場しない
※5 カーソンとブラックは実際の親子である。父親はなんとL・M・キット・カーソン
※6 オチからさかのぼると、エイリアンの姿はここからきている?
※7 カレン率いる「強い米軍」も、実は少年のイメージに過ぎないということかもしれない
猫脳髄

猫脳髄