だんぷまみず

卒業のだんぷまみずのレビュー・感想・評価

卒業(1967年製作の映画)
3.8
課題2−③
明るい未来を約束されていた青年ベンジャミンの人生がどんどん狂っていくお話。

周りの人間からうんざりする程将来を期待されていた主人公のベンジャミンが、父の友人の妻から誘惑されてころっとやられてしまう。ベンジャミンも未来を考えるあまりどうする事も立ち行かず、流されるように情事に溺れていく。母親とそんな事になりながらも娘のエレインとも恋仲へ。母親からも事前に忠告されており、怒った母親の妨害もあって、2人の恋は終わったかと思いきや、遠くの地までエレインを追って、アパートまで借りるベンジャミン。狂ったようにエレインにつきまとい、うんざりされるかと思いきや悩む彼女。彼女の突然の結婚を知り、がむしゃらに追いかけるベンジャミン。最後にはエレインの心を掴み、式場から二人で逃げ出していく。

ニューシネマの代表的な作品の一つ。誘惑シーンでのサブリミナルな裸挿入とかで、主人公の経験の少なさも相まって、抑圧されてきた性のエネルギーが解放されていくのを感じる。カットでの時間経過や心の距離が表現されているようで、心理描写にすごく重きを感じる。

最初のうちは変な映画だなと思ってたけど、エレイン登場くらいからどんどん面白くなっていく。それまでは童貞ちゃうわって感じ笑。どんどんおかしな方向に狂っていくベンジャミンが次にどんな事をしでかすのだろうかと楽しくなってくる。最後は予想外の展開で十字架振り回しながら、花嫁奪っていく。

冒頭の「プラスティック」が印象的。不自然に作られた大人達とは違って、彼らは不器用ながらに、傷だらけで汚れてはいるものの、本物の人生をがむしゃらに生きていくんだなと思う。