オーウェン

ラビット・ホールのオーウェンのレビュー・感想・評価

ラビット・ホール(2010年製作の映画)
3.7
とても静かであり、下手をすれば退屈とも言われかねないドラマ。
この作品には過去に戻れないという当たり前のことだが、その難しいことに背を向ける夫婦を描く。

妻のベッカと夫のハウィーは子供もおり順風満帆な生活。
だが息子が交通事故で死んだことで、すべてが崩れた。
夫は思い出のビデオで昔を懐かしがり、妻は忘れたいため息子のものを処分しようとする。

喪失感を埋める方法は人それぞれだが、対極なやり方のため幾度となく二人はぶつかる。
さらには息子を殺した加害者と妻は知り合っていく。

同じような体験を共有するのは難しいが、実に正当な方法で二人は抜け道を探す。
エンディングを見ても解決などしてはいないし、過去には戻れない。
それでも二人の未来が垣間見えるのが優しい。

インディーズ映画だが、ニコール・キッドマンが久々に普通の妻を演じている。
抑圧された悲しみを抑えきれないのが非常にリアルだ。
夫のアーロン・エッカートもきちんと受け止めている。
オーウェン

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