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ブラザー・ベアのRのネタバレレビュー・内容・結末

ブラザー・ベア(2003年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

自宅で。

2003年のアメリカの作品。

監督はアーロン・ブレイズとボブ・ウォーカー。

あらすじ

はるか昔、自然を司る精霊グレート・スピリットの力が信じられてきた時代、狩猟民族イヌイットの三兄弟の末弟キナイはある日、熊に襲われてしまうが、長兄のシトゥカがキナイと次兄のデナヒを守るため、犠牲になってしまう。悲しみと怒りに燃えるキナイは熊を追い詰めるが、そこでグレート・スピリットの力によってキナイは熊に姿を変えられてしまう。

ディズニープラスにて。

これは記憶だと割と何度目かのディズニールネッサンスの後期の作品にあたるのかなと思って調べてみたら、なんとディズニー最後の長編手書きアニメーション…ということらしいんだけど、あれ?「プリンセスと魔法のキス」なんじゃなかったっけ?まぁ、とにかく手書きアニメーションの作品の中では割と後の作品ということで、これはかすかにCMでやってた記憶があるなぁ…。

ただ、この頃のディズニーは割と落ちぶれてたイメージ。この後CGアニメーションの分野に移行してくるんだけど「チキンリトル」とか「ルイスと未来泥棒」などの作品を作って、そこでピクサーのジョン・ラセターをフックアップ、みるみるうちに作品のクオリティを上げて今の再興を築くていったというわけか。

で、今作も存在は知ってたけど、お話自体は観たことないし、そんなに知名度もないと思うんだけど、ファンの間では名作として有名らしい。

お話はあらすじの通り、イヌイットの主人公キナイが熊に姿を変えられてしまうという、なんだかピクサーの「メリダとおそろしの森」みたいな内容となっているんだけど、劇中で「グレート・スピリット」というワードが出るようにかなりスピリチュアル色強め。シャーマンのおばあちゃんとかも出てくるし、三兄弟はそれぞれ人生の道しるべとなる「トーテム(授かる者の行く末を象徴する動物を模られたもの)」を与えられるというルールもあったりする。

で、どうやらシャーマンのおばあちゃんタナナによって、シトゥカは「導き」を象徴する「鷲」、デナヒは「知恵」を象徴する「狼」のトーテムを与えられ、さぁ、じゃあ俺の番だ!と意気揚々とタナナにトーテムを与えられるとそれが「愛」を象徴する「熊」ってわけ。

熊って印象的にタイプワイルドで強そうだし良いんじゃね?と思わなくもないが、どうやらキナイはお気に召さなかったようで、すぐにもらったトーテムをぽい〜。

で、そんなことした罰なのか、なんとすぐに大グマに襲われてしまう。で、そこでキナイとデナヒを守るために長兄シトゥカが崖から落ちて亡くなってしまう。

で、その後復讐に燃えるキナイはなんとか生き残った大グマを追い、復讐を果たすもののそこでスピリットの力によって熊に変身してしまうことからお話は次の展開へと動き出す。

そこで、登場するのは熊となったキナイよりも小さい小熊のコーダ。またこのコーダが無邪気で人懐っこくて、とってもキュート。ただ、とってもおしゃべりで、出会った時から、寂しさもあるのかめちゃくちゃ絡んでくるので、キナイはうざったそうにしているんだけど、キナイが(元の姿に戻るために)目指す「光が大地にふれる山」がコーダが行こうとしている「サーモン・ラン」という場所に近いということで一緒に行動を共にしていくことで徐々に絆が芽生え始める。

旅路を通して絆が深まっていく描写とか、道中で行動を共にするカモシカの兄弟のコメディリリーフっぷりなどさすがディズニーこういうところはやっぱ上手いなって感じでほっこり観れるんだけど、後半そこから打って変わってめちゃくちゃ衝撃的な展開へと発展していくとは思いもよらなかった…。

「サーモン・ラン(熊の好物であるサケがたくさんいるところ。どうしてもスプラを想起してしまうw)」に着くと仲間の熊たちもいて、そこでサケ狩りをしながらたらふく腹を満たした2匹は他の熊たちと共に与太話に花を咲かせる。

ただ、その中でコーダの「母グマ」がいくら待ってもやってこない。「どうしたんだ?」と他の熊が聞くと、コーダがキナイと「出会うまで」の話を始めるんだけど…。

その前からすげぇ嫌な予感はあったんだけど、なんとシトゥカを直接的でなくとも殺してしまった大グマはコーダの母グマだったという真実が発覚…。つまり、コーダの母親をキナイは殺してしまったというわけ。しかも、その事実を知らないコーダは人間と勇ましく戦う母の話を誇らしげに語っているという事実…。

いや、おっも!!重すぎるわ…。

その後、やっぱ隠すことはできないと深刻に受け止めたキナイはコーダにその後の事実を伝えるんだけど、「嘘だ…」とそれまでの無邪気さはどこへやらショックを受けるコーダ見てられなかったなぁ…。

その事実を受け止めきれないコーダはその場を飛び出してしまうんだけど、そこで絡んでくるのがシトゥカに加え、熊となって消えてしまったキナイも熊にやられたと思い、復讐に燃え、ずっと追いかけてきたデナヒ。

遂にキナイとデナヒの直接対決となるんだけど、まぁここは言うても兄弟だから、目的地も近かったことで元の姿に戻ったキナイを見てうやむやになっちゃうんだけど、予想外だったのはラストの展開。

なんと母グマを失い、ひとりぼっちになってしまったコーダのために、「熊としての道」をキナイは選ぶのだ。なんと潔いというか、優しいんだ…。

なるほど、だから「ブラザー・ベア」本当の兄弟となったんだね。

パッケージはディズニーらしさ溢れるアニマルムービーって感じなんだけど、その実「復讐」の運命が残酷に絡み合う、かなり重めの作品という、なるほどさすがディズニー、知名度はそれほど高くないものの一枚岩でない底力を感じる力作だ。

ちなみに、全然関係ない話なんだけど、本国版では実力派俳優ホアキン・フェニックスが声を当ててるんだけど、吹き替え版だと東山紀之!キナイにしては声が老けてる感じはあるんだけど、ドキュメンタリーのナレーションをずっとやってきたことからもわかる通り、上手い。つか、声の質よりも若者のキャラクターを演じていることでどうしても連想されるのが「ワンピース」のシャンクス!めちゃくちゃ似てるんだよねぇ。二代目シャンクス抜擢するなら意外とこの人でもいいのかもしれない笑。
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