EDDIE

ブロークバック・マウンテンのEDDIEのレビュー・感想・評価

4.5
至高の両想い…1人は自分の想いに戸惑い、もう1人は自分の想いを信じる。すれ違いの先に結実する悲恋たるクライマックス。同性愛を描きながらも、それぞれの夫婦関係の拗れをもリアルに浮き彫りさせた最高のラブストーリー映画の一つ。

観終わった後に「よかったなぁ」って感じた後もじわじわ余韻に浸りながらその良かった気持ちがより一層増していくことってありませんか?
本作『ブロークバック・マウンテン』がまさにそんな作品でした。

自分の好きなジェイク・ギレンホール主演とわかっていながらも、なかなか手が出せませんでした。
数年前に一度観ようとしたんですが、なぜか集中できずに断念。
なんだかこの作品はそのような余念があると鑑賞の妨げになってしまうと感じて、気持ち的にも時間的にも余裕があるときに観たいなと思っていました。

ジェイク演じるジャック・ツイスト、ヒース・レジャー演じるイニス・デル・マー。
出会った当初はお互いに同姓に惹かれるなんてことは微塵も思っていませんでした。
しかし、ワイオミング州にあるブロークバック・マウンテンの季節労働者として相見えた2人は自然と意識し、互いに惹かれ合い、そして気持ちで結ばれます。

とはいえ、時代は1960年代。同性愛が今ほど良しとされなかった時代です。
それぞれが家庭を築きながらも、心の奥底では互いのことを思い続けている、その模様が容易に想像できる2人の表現力、製作陣の演出力にしてやられました!

2人が出会ってから20年間を描くわけですが、そこで生まれる葛藤や片方の奥さんの気付きや嫉妬、何よりも自分の夫が同性愛者であることが判明してのショックが丁寧に描写されていました。

ジャックの子供ができるまでの過程のあっさりさやジャックがイニス宅へ訪問した際のあからさまに見られてしまいそうなところでの逢瀬と絡み合い。
この辺りは若干気にはなりましたが、重苦しくも2人の愛のカタチが徐々に弾け出していく模様が見えてくるクライマックスはあまりにも心をえぐられました。

ジャックの奥さんラリーン役はアン・ハサウェイ、エニスの奥さんアルマ役はミシェル・ウィリアムズと、今思えばかなり豪華な夫婦4人のキャスティングです。
成長したエニスの娘はルーニー・マーラのお姉ちゃんのケイト・マーラですし、『グリーンブック』や『ラ・ヨローナ』のリンダ・カーデリーニも出ています。
まさかアン・ハサウェイのポロリが見れるとは思いませんでした。

さらに見所はブロークバック・マウンテンの壮大なロケーションです。
あまりにも大きな山々が連なるブロークバックにおいて、2人の存在はあまりにもちっぽけに見えながらも、山々の大きさには負けないぐらい大きな愛のカタチが見える模様はまさにうってつけのロケーションだったといえるでしょう。

アン・リー監督のコメントにあるように「普遍的なラブストーリー」です。同性愛であること以上に、こんなに強く惹かれ合う恋愛があるだろうかと。
低予算ながらアメリカ中、そして全世界で数々の賞を受賞しているのは純粋に素晴らしい作品だと評価する人が多いからにほかないでしょう。
アカデミー賞作品賞は惜しくも『クラッシュ』の後塵を配しましたが、どちらもとても素晴らしい作品です。

▼Wikipediaによると「アメリカの映画専門サイトMovieFoneが2008年5月に発表した「Sexiest Movie Couples of All Time(歴代映画のセクシーなカップル)」において、ヒース・レジャーの演じたイニスとジェイク・ジレンホールの演じたジャックのカップルが第13位にランクインした。」とありますが、以下のリンク先では21のセクシーな映画カップルのうちの一つにセレクトされています。

https://www.refinery29.com/en-us/2013/07/50275/sexy-movies

▼こちらでは第3位にランクイン!

https://www.marieclaire.co.uk/entertainment/tv-and-film/best-movie-couples-87569

※2021年自宅鑑賞17本目
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