MasahideYoshida

ブロークバック・マウンテンのMasahideYoshidaのレビュー・感想・評価

4.5
2005年公開
監督:アン・リー
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ワイオミング州の山河でひと夏限りの季節労働に従事した2人のカウボーイの、逢瀬と悲恋のお話し。

人の一生を丸ごと永遠に変えてしまうような一瞬、というのが人生には存在し、その美しさ素晴らしさと、苦しさを描き切ったような作品。ブロークバックマウンテンの素晴らしい絶景(アン・リーが撮るとそれもどこかアジア的というか、よい意味で平面的にアートに見えるのもまた面白いんです)が非現実的なほど美しいのは、そこでの出来事が決してお互いの日常と地続きにはならず、秘め事であり続けないとならないという檻の中の風景にも見え、そこがつらい。

アン・リー監督というと僕はやはり「ラスト・コーション」がベストだと思っているんですが、この人はやっぱり「永遠の一瞬」を撮らせたら最強ですね。ただの風景が、主人公の心の目で映されているかのようで、引きのシーンで心がグッと締め付けられるのは、この人の映画くらいでしか体験したことのない感覚。さすがでございました。