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ブロークバック・マウンテンのskgcのレビュー・感想・評価

3.6
噛みつくようなキスだとかなんとかって表現を漫画とか小説でよく見かけるけど、初めて視覚的に確認できた気がした。
というか作中の2人のキスは噛みつくとかのレベルじゃなかったし、あんまりにも荒々しくて衝動的で、これまでの抑圧とか忍耐とか取っ払った触れ合いが生々しくてすごい。
本編は賑やかなわけではなく、喧嘩や暴力が頻出することもないけど、主人公2人の感情の静と動の差を感じるというか、日常と2人きりの世界にいるときとを比べると愛情の振り幅が歴然としてた。めちゃ一途で見守りたい恋愛ではあったけど、やっぱりここでも、時代と、そこにはびこる人々の意識が障害になってた、っていう事実にぶち当たって暗い気持ちになった。袋小路に自ら入っていくわけではないけど、社会的な生を得うるためには、本音をひた隠しにした人生を選ぶしかないんだと思うと、見ていて切なさしかない。お互いのいないそれぞれの生活には、そこでしか得られない出来事や幸せも必ずあっただろうけど、2人の中ではお互いが至上なわけだから、比べることすら無意識にしないのかなと思った。

ジェイクギレンホールのギラギラ目がやっぱ苦手だったけど、若かりし頃の風貌はやんちゃ感と熱情を秘めてる感じがひしひし伝わってきてとても良かった。ヒースレジャーの篭った声と、そこから発せられる言葉少なな台詞からなんともいえない悲哀を感じました。

作中に何度かある、大群の羊が画面いっぱいになるシーンで何回か「無」になった。
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