映画の記録をつけよう

ブロークバック・マウンテンの映画の記録をつけようのレビュー・感想・評価

5.0
誰かに対する思いを隠さなきゃいけない、表現しちゃいけなというのはとてもとても苦しく辛いことだ。社会や周囲の人に認められない、許されない、祝福されない、そんな状況のなかでは、愛する人と一緒に過ごす時間、そのときに感じる幸せ、それが同時に苦しみになる。思いが募れば募るほど、幸せを感じるほど、苦しみも大きくなる。イニスとジャックのやるせない姿に本当に胸がつまる。特に印象的だったのは、ジャックが「いっそ別れられたら」って言ったのに対して、イニスが「じゃあ、そうしろよ」って言ったシーン。その時のイニスの表情たるや、はっとするほど胸に刺さった。あまり感情を表現しない彼が、長い間どれだけ辛い思いをしてきたか、どれだけジャックを愛していたか、それがすべてつまった表情だった。
あと、この作品は映像がとても綺麗で、山とかの自然がもつ荘厳さ、力強さ、人間がはかりしれない力みたいなものを感じさせる。イニスとジャックの愛は人間の世界では許されなかったけど、自然はただそこにあって、全てのものを受け入れる。その中でだけ、2人はありのままでいることを許された。