“愛すべき大失敗作”
あの名作「ディア・ハンター」を発表後にマイケル・チミノ監督が3年の月日を得て完成させた「ディア・ハンター」とは“また違った意味で”映画史にその名を刻んだ超大作。
その“違った意味”というのはこの映画は当時映画史上最も(現在は2番目)赤字を出した映画として世界ギネス記録に認定されたのです。
当時は興行的にも、批評的にもあまり振るわなかった本作ですが、ただ近年再上映があるたびに評価が高まってきています。
たしかにこの映画、イザベル・ユペールを二人の男が取り合うって話(超ざっくり)を3時間半やるわけなので当然間延びも半端ないですし、話のまとまりも全然ありません。「ディア・ハンター」も長い映画だけれどあの映画はその辺ギリギリのバランスを保っていたと思う。
ただその大金を注ぎ込んだ豪華なセット、美しい撮影、終盤のド迫力の銃撃戦などはやはりめちゃくちゃ素晴らしい。そこに関しては誰も疑いようがないと思いますし作り手の魂を感じます。
西部開拓史上にその名を残すジョンソン郡戦争の悲劇を描いた本作。アメリカ人の神経を逆撫でするような内容に当時は物議を醸しましたが、今や“愛すべきカルト映画”になっていると思います。私はこの映画嫌いじゃないです。
それにしてもイザベル・ユペール、若かりし頃から今も全然変わらない美しさだ…なんかこの映画観返すたびにどんどん好きになっていく、そんな映画な気がする。