大道幸之丞

マッドマックスの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

マッドマックス(1979年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

これまでまともに観れていなかった。

友人宅で途中から観てしまったり、逆に頭から観ていたのに用事が入り途中で、席を立たねばならなかったり。

——というわけで今回落ち着いて鑑賞出来ました。

この物語はほぼ昔の西部劇の構造を使っている。ただし舞台を、やや社会モラルが荒廃し始めた極めて近い未来と暴走族と警官の設定にしている。

ただし人を殺すには殺すなりの怒りと承認を根拠として鑑賞者に与えねばならない。現実にはそんな理屈は通じなくとも「これならこいつは殺されて当然だ」と思わせる説得力だ。

荒くれだが人一番正義感が強いグースが焼死し、それまでたっぷり家族への愛情を描いていたまさにその妻と子がトーカッターらに轢き殺され事で観客は誰しもマックスにとびっきりな惨殺ライセンスを与えてしまう。

そして日本でもレプリカをかなりみかける「V8インターセプター」がいい。

結局人間の感情を上手に動かすことに成功していてそれは見事だ。ナイトライダーが大言壮語を叫びながら、いざ命知らずのマックスに後ろから突かれただけで自信が喪失し泣き言を言いながら半ばいざなわれるように死んでゆく。「臆病者の虚勢」を表現している。

本作の少し前の1975年から少年ジャンプで「ドーベルマン刑事」が連載されていた。こちらもダーティーヒーローで成功した例で、警察官が常軌を逸した犯罪に沿うように凶暴化し立ち向かう本作はその延長線にあると感じる。

バブル期の豊かな時代にはピカレスクロマンが売れて、景気が悪くなるとハートウォーム作品が好まれるのは小説と映画の世界では歴史的に繰り返している史実でもある。

俄然「2」が観たくなった。