森崎

ゲキ×シネ「髑髏城の七人〜アカドクロ」の森崎のレビュー・感想・評価

3.5
ああ、新感線のゲキ×シネってこんなに面白い演劇を魅せてくれるんだった。ただの芝居やミュージカルや映画でもない、生きた演劇体験。

キャストを一新したワカドクロを先にゲキ×シネで観ていたから演技を見るだけでも面白いのについつい話に引き込まれてしまう。特に佐藤仁美の沙霧が下品すぎず威勢が良く凛々しくてとても良かったし、ワカドクロで沙霧を演じた仲里依紗はわりとこれを見本として寄せてきたんじゃないかなとも思える。ただ太夫はワカドクロの艶っぽくも一人の人間として強かった小池栄子の方が好きかな…。
そして新感線、脇を固める劇団員の中には正直そこまで名が知られている訳ではない方もいる。だけどその面々のキャラ立ちやアクション、殺陣のキレがあの世界に厚みや深みを持たせているような気がしています。よく知らない人達だからわからない面白くない、なんてことは一切無い。暗く鬱々とした世界でもあの七人だけでなく散っていったその他大勢が色のある存在として光を放っている。


また、舞台は上手と下手の袖から左右に動くのが主だけど、手前と奥と、縦横無尽に舞台上を駆け抜ける様が斬新で面白い。アップも鳥瞰もオーバーラップもある、普段舞台を観ているときではあり得ない視線の動きに場を広々と使った動きはうってつけなのでしょう。再びキャストを替えて新劇場の柿落としとして公演する髑髏城の七人、実際に目の当たりにする演劇としての役者の力量と舞台装置ときっとなってくれるであろうゲキ×シネとしての役者の細やかな技や場面の繋がりの上手さと二つの楽しみ方が出来ることを願っています。
森崎

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