イヤホンを両耳に付けて鑑賞する実験的な映画。

観(聴？)客は一時的に目が見えなくなって入院している女の子視点で音や声を体験する。スクリーンは主に女の子のセリフ(声なし)の字幕に使われ、映像はほとんどない。
感覚としては映画館の音響設備でドラマCDを楽しむ感じだろうか。

かなり面白い企画だが、演技者側の想像力やコンセプト理解の問題か、製作者の編集の問題かは謎だが、主要人物の距離感が主に左右遠近の使い分けしかなく、コップを置く音、廊下を歩くなどのSEが空間を意識して作られている分、残念だった。一人お医者さん役の人の時は、動きや距離感が空間的にかなり作り込まれてて、この試みをフル活用した感じで非常に良かった。
ストーリーは、女の子のお見舞いに来るのが何故か良い声の男の子ばっかという点で、お察し下さい。

正直話は好みじゃなかったが、監督の岩浪さんは音響で色々挑戦されている方なので、こういった試みがあったらまた行ってみようかと思うぐらいには面白い体験だった。

主人公に自分を投影して観る新しい形の映画。
ダミーヘッドはとても効果的で最後のシーンにはやられた、と思いました笑
耳だけに集中出来るので物語には入りやすいかと。