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夢売るふたりの19のネタバレレビュー・内容・結末

夢売るふたり(2012年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

西川みわの人間の描き方、あぶり方がすき。今回は今までに比べたら、甘めでテンポもいい。阿部サダヲの威力すごいなと思った。その分、松たか子の人間味が絶品。憎い憎い憎いと目の奥に書いてある。それでも夫にはそれをぶつけない。すごく共感できた。園子温の作品に出てくる、感情むき出しの女は、男性が描く女。ただただ内蔵を締め付けるように、自分で自分を締め付けるように静かに感情を露わにするのが女の描く女。騙される女たちは皆、松たか子とは違った魅力をもつ。だからこそ、阿部は安らぎを覚えるのだろう。どの女も松たか子を越えられない。越えられない執念がある。西川さんは語らず、メッセージを視線と視線の交差で伝える。「ゆれる」で私の脳がゆれた、あの経験は、兄と弟のたった一度の視線の交差。今回はこの結婚詐欺を行う元凶ともなった、社会的にステータスのある未婚の女と、社会的になにも持たない既婚の女。結婚した勝ち組か、自立した勝ち組か。西川さんにかかればどちらも負け組だ。早稲田松竹にて二本立てで鑑賞。
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