タクマ

二十四の瞳のタクマのレビュー・感想・評価

二十四の瞳(1954年製作の映画)
4.3
見たで。
小豆島を舞台に時代の流れに翻弄される女教師と生徒達の姿を描く。
恐れながら初視聴。直接的な暴力描写があるわけではない、でも見ていたら凄く心が引き裂かれる気持ちになる。前半の先生と教師の関係を描いた愛らしく美しい風景と後半の落差の対比、題材的には反戦映画としての側面も強いけど見終わってみたら当時の貧困からくる子供達に対する皺寄せや性差別とか日本と言う国で昔の時代を生きた人達の辛い現実を描いた作品でしたね。将来の夢や希望を語り合っていた先生と教師達が戦争による時代の影響で徐々に引き裂かれ自分達の大切な物を奪われたまま終わるラストカットの悲しさは言葉にしきれないがだからこそ本作は今でも語り継がれる反戦映画の名作になったんだよね。
本作が公開されてから来年で70年目を迎えようとしている昨今。戦争、マイノリティ、多様性、フェミニズム、様々な理由で対立と分断が激しさを増すなかでどんな個性を持った子供達でも各々に寄り添った目線で向き合い守り育てる事ができる大石先生の様な存在が今は一番必要なのかもしれない。「私も一緒に泣いてあげる」と言う彼女の言葉に良い歳になったおっさんの私ですら心を救われたのだから。時代も価値観も超えて後々の未来にも語り継がれるべき傑作です。
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