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浮き雲のatsushiのレビュー・感想・評価

浮き雲(1996年製作の映画)
3.9
アキ・カウリスマキによる"敗者三部作"の第一作。

初期の"労働者三部作"同様に、作中で起こる悲劇の連続が逆説的に人々の強かさを表出させるような作りは、監督の一貫した作風であるように思います。初期作と印象が異なるのは、ポスタールックにもなっている印象的なラスト。社会の下層の者たちの眼差しと監督の彼らを見つめる優しい眼差しとが交差するこの名カットで注目したいのはカメラ位置です。初監督作から十数年、キャリア的にも成功しある程度の地位を築いた監督と、人々との距離感の変化を図らずも感じさせる最後でした。

2024/01/27 1回目
【2024年33本目】
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