調伏系V魔虚羅

オープニング・ナイトの調伏系V魔虚羅のレビュー・感想・評価

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)
4.6
舞台女優マートルは”老い“をテーマにした新作『第二の女』に取り組んでいた。ある夜の公演後、群がるファンを掻き分け彼女に縋り付く熱狂的なファンの17歳の少女に出会う。少女は「I love you.」を繰り返しながらマートルの車を見送った直後、対向車に撥ねられ即死する。以来、マートルは死んだ少女の幻影を見るようになり、次第に精神が錯乱し始める。

劇場の前でファンの少女が車に撥ねられ、即死してしまった様を目撃した舞台女優。逆らえぬ”老い“と周りからの抑圧によるストレス、悲劇が引鉄となって、時折現れる少女の幻影が彼女を惑わし、心をも少しずつ蝕んでいく。人は狂気に身を任せた末に真の輝きを見せるのかもしれない。
誰にでも訪れる”老い“と演劇業界での衰退の因果関係、それにより一度は第一線を退くかのように見えた女優の再生の物語。そんな在り来りな展開をここまで引き込まれるものに完璧に仕上げるとは。主演のジーナ・ローランズ含めた、俳優陣の途轍もないくらいの台詞量にも驚いたが、ジョン・カサヴェテスの演出力にも恐れ入った。凄い映画見ちゃった感。
調伏系V魔虚羅

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