ちんねん

オープニング・ナイトのちんねんのレビュー・感想・評価

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)
3.8
スタニスラフスキー的な同化と、ブレヒト的な異化、
そこに倫理的な意味合いを込めているという感じではなかったようだけど、
演出家が自分の意見変えないことに関してはクソくらえ、って言ってるようで、
まあそもそも全体的に役者目線の映画ではあったような。


舞台の裏、役者の裏、とどんどん異化していくことがテーマのようだが…映画の構造からは抜けれてなくてなんかスッキリはしなかったが、役者目線から見ると、異化されていく=活かされていく、というダジャレ。


奥さんの実存的な問題を扱って、奥さんが演じる、夫が演出・監督する、
しかも映画内劇と映画内監督を用意するという構造。


役者による役者の映画、か…。





- [ ] 演出家の意図と、役者の(そして役者にも制御できない)欲望・感情のせめぎあい (老いを認めたくない、もっといえば若く"ありのまま'でいたころに戻りたい)
- [ ] そこでは、役者の身体において、脚本・演出と、感情・欲望がせめぎあいを見せる
- [ ] 葛藤のもたらす揺らぎによって、舞台の上、っていうのは異化され、どこもかしこも舞台と現実の入り混じったようになる


- [ ] 老いを受け入れさせようとする脚本と、若い娘のシンパシーとその喪失、という出来事がきっかけとなって、主演女優の身体・精神をおかしはじめた。その異常になる振幅が物語を駆動し、テーマも生まれていく=舞台と現実の狭間を揺らがせていく。
- [ ] ラストは、脚本・舞台への同化ではなく、異化へと振り切り、カサヴェテス=本作における監督と、楽屋裏でいつも皆を楽しませているユーモアとともに自由に戯れ、皺を刻んだ笑顔でラストを迎える。
- [ ] FACESと比べると、主演女優以外の人物に奥行きというか固有の生が感じられなくて残念。主演女優についても、奥行きというか、"感情の塊"みたいな印象が残って、感情から物語ができていく感はカサヴェテス作品として面白かったのだが、ちょっとゴムボールがはずんでいくのを見ているような気持ちにもなっていった…。 "感情"が、ヒステリックで多様過ぎたから?
ちんねん

ちんねん